キミに恋の残業を命ずる
鍋パーティー当日。朝六時。

数箱の保冷ボックスを台車につんで、わたしは課長のお部屋の前まで来ていた。


スマホを取り出し、電話をかける。
課長、もう起きてるよね?


五コールくらいしたあと、電話がつながって、


『…もしもし』


課長の声が聞こえた。


「あ、あの今下にいますので、よろしくお願いします」

『ん。今行くからちょっと待っててね』


しばらく待つと、課長が姿を現した。

ちょっと疲れを残したその顔は、寝ぼけ眼だった。
あ…やっぱりまだ寝てたみたい…。


課長は日増しに忙しくなっていった。
大がかりな開発プロジェクトが立ち上がり、その中心となったからだ。

なのにこの鍋パーティーの準備まで手伝ってくれたから、疲れが溜まっているのかな…。
申し訳ない…。
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