キミに恋の残業を命ずる
「俺も手伝おうか」

「いえ、課長はお疲れでしょ?他のことでもたくさん助けていただいたし…」

「人数多くしてやれば、早く終わるでしょ?」


まぁたしかに…。
その方がこの臭いからも解放されて、ふたりにも休んでもらえるよね。


お言葉に甘えて上司ズにも手伝ってもらうことにした。

けど、服部部長は力技でどうにか最後までさばききったけど、遊佐課長は途中で断念してしまった。


「こいつ、器用なのは機械相手だけなんだ」

「く…」


屈辱に耐えつつ、課長は皿に盛った切り身をラップして冷蔵庫に入れる作業を手伝ってくれた。



そんなこんなで下ごしらえが進み、すべてを終えたのは、営業部の方たちとの集合時間の二時間前。


次は鍋の汁を作らなければならない。


切り身が盛られた大皿を冷凍ボックスに戻し、それをまた台車に積んで、エレベーターで一階の給湯室に向かう。

部長はさすがに申し訳ないのでお部屋に残ってもらって、課長とわたしとで運んだ。
< 146 / 274 >

この作品をシェア

pagetop