キミに恋の残業を命ずる
田中さんはことさらやかましく笑った。


「あーやだぁ恥ずかしい!勘違いも甚だしいわね。イタいイターいおバカちゃんに言いこと教えてあげる。
最近、あの亜依子に婚約の噂が出てるのよ。知ってた?」


亜依子さんが…?


「社長令嬢のお相手となれば、もちろん、社を任せられる人でなくちゃあね。誰かしらね、うちは敏腕が一杯いるから…ああでも、我が社は今後ソフトウェア開発を主軸にやっていくつもりだから…やっぱりその分野のホープが相手じゃなきゃね。…となれば、思いつくのはひとりしかいないわよね」


遊佐課長。


なにしろ社長が社の一角にまで住まわせて確保したかった人財だ。

亜依子さん結婚すれば、切っても切れない存在となる…。


それに、鍋パーティの時の亜依子さんの様子…。
遊佐課長に対して、上司以上の想いを抱いているような態度がにじみ出ていた。


遊佐課長と亜依子さんの結婚。
有り得ないことじゃない…。
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