キミに恋の残業を命ずる
「あら、亜海ちゃん。こんなところで会うなんてびっくり」

「ほんとですね!どうしたんですか?今日は来ないって聞いてたのに」

「予定が早く終わったから二次会には参加しようと思って来てみたの」

「わぁ、みんなよろこびますよ!亜依子さんが来ないの、みんな残念がってたから」

「うっそー?鬼の居ぬ間に…ってのびのびしてたんじゃないのぉ?」

「ふふふ、わかってました?」

「もう!」


いつもより濃い色のルージュをつけた唇は、すぼめるとグラマラスで色っぽい。
すねた顔をしても、亜依子さんはやっぱり綺麗だ。


「ところで、みんなは?もしかしてもう次の場所に行っちゃった?」

「はいそうなんです。例の四丁目の中森ビルってところに入ってるお店へ」

「そっかそっか。やっぱり間に合わなかったか。ま、どうせ遅れていくし、化粧でも直してから行こうかな。…って、亜海ちゃんは行かないの?」

「え?あっ、はい。これからちょっと用事があって」

「用事?ふふ、カレシとか?」

「え!?」


図星を突かれ、思わず声を上げてしまった。
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