キミに恋の残業を命ずる
「おどろきすぎだよ。そんなに意外なことぉ?」

「すみません…だって…亜依子さんってこれからもバリバリお仕事してそうな感じがしたから…」

「もちろん、仕事は続けていくよ?夫婦二人三脚、ってやつになると思う」

「わぁ素敵ですね。どんな方なんですか?」

「んー。仕事はできるんだけどねぇ、それ以外はマイペースで、変わり者で、不器用で…」


くすっ、と零した笑みから、溢れんばかりの愛おしさが伝わってくる。


「でもま、すごくいいヤツよ。付き合いが長くてね、腐れ縁ってやつなの」

「へぇ…」


大好きな亜依子さんがわたしだけに教えてくれた吉事だけれども…わたしはよろこぶというよりほっとしていた。


この期に及んでまでって嫌になるけど…正直言うと、まだすこし亜依子さんと裕彰さんのことを疑っていたからだ…。
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