キミに恋の残業を命ずる
でも、今の告白を聞いて安心した。
課長は最近本社勤務になった人で、亜依子さんとも対面して日が浅いはず。
だから「腐れ縁」と言うのはおかしい。


やっぱり裕彰さんの言葉は本当だったんだな。
裕彰さんはわたしを愛してくれている…。信じなきゃ。
もうポーチのことは忘れてしまおう。

『この部屋に部外者を上げたのはキミが初めて』

と言う言葉は、わたしを靡かせたくて課長が取り繕った言葉だったんだ。


「おめでとうございます、亜依子さん!亜依子さんが幸せになってくれて、わたし本当にうれしい」

「ありがとう。結婚してもせいぜい苗字が変わるくらいだから、これからもよろしくね。
うーん、この際だから、亜海ちゃんにお料理でも習おうかしらねぇ。なんだか最近アイツ、料理作ってくれってうるさくて…料理苦手なのに、ゆううつ」


悩ましげにため息をつく亜依子さん。
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