キミに恋の残業を命ずる

「あとは、ここにこうして…はい、終わり」

「え、もう??」

「次にデータを入力する時は、ここにこれを入力するだけで全部出来上がるようになってるから…もうこんな単純な資料に時間とられなくてすむよ」

「すごーい!」

「ってことで、残業終わり」

「すごいすごーい!」


もう、大感激の一言。

ムッとしていたのも忘れて、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでしまった。


「…そんなに感動することでもないけど…」

「そんなことないですよ!すっごいです!!」


この膨大な資料をどう処理していいのかお手上げだったのに…また披露されちゃった!魔法!

尊敬の念を込めて熱いまなざしを向けると、きれいな顔はツンとした表情から一瞬驚いたような表情に変わった。
けど、すぐに余裕のある微笑を浮かべた。


「じゃ、これでキミは晴れて自由の身?」

「はい、おかげさまで」

「そう。じゃあ……えっと、そういえばまだ名前聞いてなかったな」

「あ!三森です。総務部に今年から配属されました、三森亜海です」

「そう。亜海ちゃんね」


い、いきなり名前呼びですか…。

セクハラ、なんだろうけど、この人になら照れしか感じない。
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