キミに恋の残業を命ずる



「俺は遊佐(ゆさ)」

「遊佐…さん…」



あれ、どっかで聞いたことあるな…。



「あの…部署はどちらで」

「それは内緒」

「え?」

「でも一応課長さんやってるから『遊佐課長』でいいよ☆」



いいよ☆って…。

それにしても…「遊佐」って名前、どこかで聞いたことあるんだよなぁ。思い出せそうで思い出せない。どこかの部署の人だったかなぁ。
でも課長職でそんな名前の人はいなかったはずだし…。



「ね、亜海ちゃん」

「…あっ、はいっ!」



突然、きれいな顔にのぞきこまれて、飛び上がった。


「これから予定はある?」

「え?いえ、まっすぐ帰るだけですけど」

「そう。お腹空いてるんじゃない?よかったら、これから付き合わない?」

「付き合う?」

「そ。実は俺、軽く夕食でもとろうと思って出かけるところだったんだ」

「まぁ、そうだったんですか」
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