キミに恋の残業を命ずる
そして、ついにわたしたちは七階まで昇った。
そこはやっぱり他の階とちがって、ちょうどマンションの最上階のような雰囲気をだしていた。
踊り場が壁で囲われていて、施錠された扉だけがひとつあるだけ…。
課長がポケットから鍵を出して、その扉に差し込んだ。
鍵はするりと鍵穴に入り、
カチ
と音をたてた。
ごくり、と唾を飲むわたしの前で扉は音も無く押し開かれる。
真っ暗な空間が、そこには広がっているように思えたけど、様子がちがった
うっすら見えるのは…家具…家電?
ふいに明るくなって、空間が正体をみせた。
「えええっ!」
思わずすっとんきょうな声を上げてしまった。
だって、目の前には高級マンションのモデルルームのような部屋がひろがっていたから―――。