キミに恋の残業を命ずる

フロアをパーテーションで仕切ってそれぞれの部署を置いている下の階とはちがい、フロア大半がリビングになっていて、大型ソファやテーブル、超特大テレビなんてもの置いてあるのに広々としている。

対面式キッチンまでついていて、しかも備え付けの食器乾燥機や大型オーブンまであるというシステムキッチン。

なによりも素敵なのは、リビングを囲う全面窓ガラスから見える夜景だ。
高層ビルが立ち並ぶほどではないけれど、一応ここだってオフィス街と称される地域。
眠らない街のきらめきが見渡せて、もうそこら辺の夜景スポットよりもいい眺めだ。


「すっごーい…」


靴を脱いだ課長に従って、わたしもふらふらと進んでいく。


ふわふわのラグマットが素足に気持ちいい。

デザイナーズスタイルの天井照明とシェードランプが放つやわらかなオレンジの灯りが部屋全体におだやかな陰影を生み出していて、ほっこりと落ち着いた雰囲気を作っている。

本当に素敵なお部屋だ。



そう、お部屋だ。
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