キミに恋の残業を命ずる
でも…あまりにも非現実的過ぎる。
どうしてこんなことが許されているの?
「俺が手掛けたソフトウェアが、傾いたうちの社をV字回復させるきっかけになったことは知ってるよね?」
「…はい」
「実はその時はまだ俺は大学生で、ここに入社していなかった。社長は直々に入社依頼をしてくると、破格の給料と開発部部長のポストを提示してきた。
けど即座に断った。俺って集団行動が苦手な上に、ひどい人嫌いだからさ」
へ…意外。
朝の感じだと人当たりがよくて、いかにもアメリカ帰りの外交的な人って感じがしたのに。
「もとより会社務めなんかするつもりなくて、IT関連で独立してマイペースにやっていくつもりだった。だから組織に組み込まれて部下までついてくるなんて、冗談じゃないって思った」
なんか、わかる気がする。
ずっと思っていたけれど、課長の雰囲気は気ままでマイペースなネコに似ている。
アビシニアンとか高貴そうな種類の。