キミに恋の残業を命ずる
課長はしかしながら不愉快そうだった。
「そんなに笑うことないだろ」
「だって…なんだかもうおかしくて…」
「悪かったな、子供で」
「ほんとですよもう、あはははは!」
冷やかな視線を寄こしながら、課長は続けた。
「…好きなだけ笑うといいよ。でも、くれぐれもこれは俺とキミだけの秘密ってこと、忘れないでよ?
もし、このことが他人に知れたら…それはキミのせいってことだからね」
「あはは、は…え?」
「え?じゃないよ。もしそうなれば最後、俺は社内中の笑い者になる。変人扱いされて信頼も評価も地に落ちる。それすなわち社が混乱におちいるってことだ。これがどういう意味か、おわかりだよね?」
きょとんとしているわたしに、課長は体面を取り戻したのをよろこぶように、口端を上げた。