キミに恋の残業を命ずる
「だって、我が社の未来は俺を中心としたソフトウェア部門にかかっている。もしそれが行き詰って業績不振になるようなことになれば…真っ先に切られるのは、キミのようなダメ社員だよ」
ひさしぶりに来た、トゲのある言葉。
だけれど、的は得ている。
たしかに今課長のカリスマ性を失うことは、致命的に等しい。
この秘密はなんとしてでも他の社員には漏らさないようにしなければならない。
けど。
「じゃあ…どうしてわたしにこんな重大な秘密を教えたんですか?」
「…」
「わたしは、課長が会社にいたのは海外生活の影響だって信じきっていたのに。なのにあえて真実を教えて『他人に漏らすな』だなんて…そんなの」
「…勝手?」
そう、勝手です。
無理やり部屋に連れてきて、自分の正体を明かして…。
まるで、わざと巻き込むかのように…。