キミに恋の残業を命ずる
「俺には家庭の味を作ってくれる親がいないんだ。母親の母国のアメリカで生まれて、何歳かまでは母とそこで暮らしていたんだけど、小さい頃に母が亡くなってね。日本に来たのは、そのあと父が引き取ってくれてからだったんだけど、暮らしたのは施設だった。だから家庭の味らしいものを食べたことが無いんだ」


淡々と語るけど、意外すぎる話だった。

天使のように可愛かったにちがいない子供の頃の課長。
美男美女のご両親に囲まれて、絵にかいたように幸せな家庭で育って…ってイメージが、おどろきとともに消えた。


施設にいたってことは…お父さんはどうしたんだろう。
けど、とても聞けそうにない。

ひょうひょうとしているけど、意外に苦労を知っているのかもしれないな。
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