キミに恋の残業を命ずる
「そ、そういう俺だってな、集団行動が嫌いなのにこれから毎日打ち合わせだ部下に指示だ、って神経すり減らさなきゃならないんだぞ」

「それだけ求められる人ってことですよ。いいですね。というか、課長はきっと大丈夫ですよ。言うほど人嫌いに見えないですし、口もうまいし」


現に引っ込み思案なわたしもすぐに打ち解けてこんな会話できちゃってるし。


「あーあ、いいですね敏腕は。わたしみたいなダメ社員とは大違いですねー」

「キミ、もう酔ってる?」

「酔ってないですよー」


とツンとそっぽを向いてみる。

いや、うん…正直、酔ったようです。

なんだか頭もぽっとする。
飲みやすいからそんなに強くないと思って、気づけばもう飲み干しそうだし。



いけない。

いけないぞ、亜海。



つい場に飲まれて飲んでしまったけど、ここは男の人の部屋だ。
しかも、誰も知らない秘密の部屋。大声出そうがなにしようが、誰にも気づいてもらえない。
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