恋はØ円❥» ➸
時刻はもう5時過ぎで、川沿いの小道には子供連れのお母さんが買い物袋を持って帰っている。
「ママ、今日はハンバーグがいい‼︎」
「はいはい、わかりましたよ。」
まだ6歳くらいの男の子が、お母さんとニコニコ話している。
私にも、あんな時があった。
お母さんが持っている重たい荷物を持って、この道を歩いていた。
転けたこともあった。
泣いたこともあった。
その度にお母さんが砂を払って、手を引いてくれた。
川の水面に浮かぶオレンジ色の夕日が、私の目を曇らせる。
会いたいなんて言わないけど、
どうせなら、
もう少し、
長生きして欲しかったや。
不意に止まっていた足に気づく。
目に溜まった水を飲み込んで、足を動かす。
「早くしないと、健太と和也が帰って来ちゃう!」
私は歩く速度を速くした。