自己満足 いちゃいちゃ
3
多分だけど
これはきっと夢オチだろう
「足」
「ん?」
さっきまで楽屋から出ていたはずの北山が
いつの間にか目の前に立っていて
俺の組まれた足を指さすや否や
足、と一言発して動かない
「足」
「...が、どうしたの?」
さすがに
単語1つじゃわからない
という反面
実は期待した上で、言わせたかったりするなんて
よっぽど重症らしい
「んー...ん」
向かい側のソファに群がりゲームをしていた玉や宮も
いつものように盛り上がっていたニカや健永も
俺の隣で寝ていた渉でさえ
不自然な静寂と共にこちらを伺う
当の御本人は
てくてくと歩み寄って来たかと思えば
よっこらしょ、と空いたソファのスペース
つまりは俺の隣に座り
これまたこちらの様子を
きょとんとした顔で伺っている
「足崩して」
アシクズシテ
意味もわからぬまま言葉に従った
この謎の状況にいたたまれなくなったからだろう
足は勝手に組むのをやめた
ついでにきちんと伸ばされた背筋
一体何が始まるというのだろうか
ほんの数秒、揃えられた足を見て
満足げに微笑んだその人は
そのままゆっくりと傾き始め
俺の両腿に頭を預けた
「...渉、これどういう、」
「寝ぼけてるのかね」
寝ぼけてる
その言葉の行方は
俺か、北山か
どちらにせよ
『夢のような』
そんな
これはきっと
夢オチだろう