自己満足 いちゃいちゃ

4





「ひろ、起きて」


愛しい寝息をたて眠る愛しい恋人


カーテンのほんの少しの隙間


優しい日差しが差し込んでくる


あたたかい、春


こんな日は


昨日までと同じ景色さえ


全く違って見えるから不思議だ


「ひろー、遅刻しちゃうよ」


途端に広がるちょっとの罪悪感


本当は急がないといけないこの状況


何もかもが綺麗で


何もかもが愛しくて


このままで居たいと思っている


幸せと感じて動けなくなっている


一向に起きる気配はないけど


可愛い寝顔をずっと見ていたいと思っている


頭中の天秤が壊れたみたいだ


春のせい?


俺のせい?


「...ひろ!!起きて!時間!!」


「んぇ...?...うわっ、え!やばい!おはよ!」


「おはよ。よし、支度しよ」


だけど、それでも


君と言葉を交わす瞬間は


君と視線を交わす瞬間は


どんなものでもかなわないと


実感する、あたたかい春の始まり

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