俺の騎士
その頃から、既に、非日常な生活に嫌気が差していた。思いきって会長とやらに言ったのが運のつき。私の笑顔に惨敗したようで、ここでも嘲る自分がいた。
(ちょろい)
「希乃来くーんの、嘘くささは鉄板だねぇ」
壁にも垂れる莉乃の姿。背も低く、茶髪の髪に魅了されると気付けない、アーモンド型の綺麗な瞳。小さくも力強く咲く、路上の花のような彼女。
私は彼女にだけは、普通に接することが出来るこの安堵感がたまらなく好きになった。
トキと同じような空間にいるとさえ、錯覚してしまうほど。
彼女のとなりは、心地が良かった。
周りの女たちも、梨乃がクラブの会員ということで、私のタイプの子が見つかったとだけしか思っていないんだろう。
「梨乃、帰るぞ」
「はーい」
「遅い」
「はいはい」
(……俺が女を迎えに行く……)
私の行動も積極的に梨乃と接触を図っていた。
ドアにも垂れ、彼女の準備を待つ。これは、彼氏の役目なんだろうな、と思いつつ。