俺の騎士

 何年生かもわからない男子たちが階段を何段も飛び抜かして駆け降り、小柄な彼女の肩は男子の体に当たり、バランスを崩していた。
 咄嗟に何段か駆け上がり、梨乃の体を支えながら壁に追いやり安全を確保する。
 いくらか背の高い私を盾にすると、男子との体格差は縮み、接触をしても倒れずに済んだ。

「……ありがとう」

(うわ……)

「可愛いな、ツンデレとか。久々に女に萌えた」
「は、はぁ?! なにいっちゃってんの?! 早く帰るよ!」

(梨乃が赤面した)

 私は物珍しいものを見たような気分になって嬉しくなった。

(もう……素であんなことするなんて、ズルいよ……どうせ、あんたなんか……のくせに)

 誰かの胸中は、エスパーでもない限り、読み取ることは出来ない。
< 15 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop