レンタル夫婦。
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――残り、26日

朝、起きると湊はもう出かけたみたいでいなかった。
また一人で朝ごはんを食べて会社に出勤する。
何事もなく一日を終えていつも通りの時間に帰宅したものの、やっぱり湊の姿はない。

(何時頃帰るんだろ……)

気になって連絡をしようか迷う。
一応初日に連絡先は訊いていたけど……何て連絡して良いのかも分からず結局打ちかけたメッセージを送信しないまま消す。
夜ごはんは一人だし、と思って余った野菜でスープを作って食べた。
もし湊が帰ってきても良いように、残りを冷蔵庫に入れて『あっためてたべて』と書いたメモを貼る。
それからお風呂に入ってお風呂から出ても湊は帰ってこなかった。
時計の針が、23時を示す。段々眠くなってきて私は自室へ向かった。
先に寝てて良いって言われたし……と思ってベッドへと入る。
疲れていたのもあって、そのまま眠りに落ちた。



**
「ん……?」

遠くで物音が聞こえて深い眠りから意識が浮上する。
湊が帰ってきたのかもしれない。そう頭の隅の方で考える。
ベッドの側の目覚まし時計に目をやれば、時刻は深夜の2時過ぎだった。
いつも完全に寝ている時間のせいか、どうしても起き上がる所までいけない。

「ねむ……」

そう呟いて、結局そのまま眠りに落ちた。



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