レンタル夫婦。
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「動物園……?」
湊に連れられて着いたのは、そこまでは大きくない動物園のようだった。
「そう。ここ、タダで入れるんだ」
ここにそれがあるとは思っていなくて、少し意外な気がしていると、湊はそう笑って中へと進む。
「夫婦、なんだしあんまりお金かけないデートの方が良いでしょ」
「そうだね」
正直、そこまで動物が好き! って訳でもなくて少しだけ戸惑ってしまう。
でも、無料っていうのはすごく良かった。
高いレストランとかに連れていかれるのを何となくイメージしていて、湊に対してちょっと偏見があったのだと気付いた。
中に入ると、右にも左にも動物が居た。
動物園なんて子供の時以来で、地味にテンションが上がる。
「ね、見てみひろさん。……こっちにくじゃくいるよ。くじゃくってさ、凄い綺麗な色してるよね」
「……みひろさん、ほら、カンガルー! こっちのはエミューって鳥だってさ。すごいデカいね」
湊は動物を見るたびにそうやって反応して見せた。
何だかそれが意外で……物凄く可愛く見える。
「みひろさん、あっちはトラがいるって。ライオンもいるみたい」
「湊……動物すきなんだね」
「うん、そうだね。結構好きかな」
湊は嬉しそうに笑う。
色々な種類の動物を見るのは楽しくて、……でもそれよりも、表情をコロコロ変えてはしゃぐ湊が可愛くて、あっという間に園内を一周してしまった。
「何かオレばっかりはしゃいじゃったかも。……みひろさん、楽しめた?」
出口の所で湊が申し訳なさそうに眉尻を下げる。
私は否定の意味をこめて思いっきり首を振った。
「楽しかった! 動物園なんて子供の頃来たきりっだったし……知らない動物もたくさんいて凄く面白かったよ」
そう、思ったままを伝えると、湊は安心したように笑った。
「そっか、……良かった。ね、次はこっち行こう」
動物園から出て湊に手を引かれる。
人がごちゃごちゃ居る中を、はぐれないように手を繋いで歩く。
何でかそれだけのことが凄く嬉しくて幸せだった。
海の上の遊歩道、を一緒に進む。
潮風が頬を撫でて気持ち良い。
天気が良いからかおひさまが当たって何だか穏やかな気分になる。
「風、きもちいーね」
「うん、海の匂いってオレ好きなんだ」
湊が柔らかく笑う。
私もつられて笑顔を向けた。
「ここ、初めて来たけど落ち着くね」
「気に入ってくれたなら良かった」
普段と違う景色、空気、匂い、音。
五感を刺激されてテンションが上がる。
気付いたら自分から湊の腕にしがみついていた。
湊は一瞬だけ驚いたような顔をして、それから私と腕を組んで歩いてくれた。
そう遠くない道のりが、何だかずっと続いて欲しくて、すごく、不思議な気持ちになった。
「みひろさん、高い所、平気?」
「うん?」
「じゃあ、ついてきて」
嬉しそうに笑う湊について歩みを進める。
少し歩いていくと、大きな観覧車が見えてくる。
それを指差して、湊は笑った。
「みひろさん、……あれ、乗ろう」
「動物園……?」
湊に連れられて着いたのは、そこまでは大きくない動物園のようだった。
「そう。ここ、タダで入れるんだ」
ここにそれがあるとは思っていなくて、少し意外な気がしていると、湊はそう笑って中へと進む。
「夫婦、なんだしあんまりお金かけないデートの方が良いでしょ」
「そうだね」
正直、そこまで動物が好き! って訳でもなくて少しだけ戸惑ってしまう。
でも、無料っていうのはすごく良かった。
高いレストランとかに連れていかれるのを何となくイメージしていて、湊に対してちょっと偏見があったのだと気付いた。
中に入ると、右にも左にも動物が居た。
動物園なんて子供の時以来で、地味にテンションが上がる。
「ね、見てみひろさん。……こっちにくじゃくいるよ。くじゃくってさ、凄い綺麗な色してるよね」
「……みひろさん、ほら、カンガルー! こっちのはエミューって鳥だってさ。すごいデカいね」
湊は動物を見るたびにそうやって反応して見せた。
何だかそれが意外で……物凄く可愛く見える。
「みひろさん、あっちはトラがいるって。ライオンもいるみたい」
「湊……動物すきなんだね」
「うん、そうだね。結構好きかな」
湊は嬉しそうに笑う。
色々な種類の動物を見るのは楽しくて、……でもそれよりも、表情をコロコロ変えてはしゃぐ湊が可愛くて、あっという間に園内を一周してしまった。
「何かオレばっかりはしゃいじゃったかも。……みひろさん、楽しめた?」
出口の所で湊が申し訳なさそうに眉尻を下げる。
私は否定の意味をこめて思いっきり首を振った。
「楽しかった! 動物園なんて子供の頃来たきりっだったし……知らない動物もたくさんいて凄く面白かったよ」
そう、思ったままを伝えると、湊は安心したように笑った。
「そっか、……良かった。ね、次はこっち行こう」
動物園から出て湊に手を引かれる。
人がごちゃごちゃ居る中を、はぐれないように手を繋いで歩く。
何でかそれだけのことが凄く嬉しくて幸せだった。
海の上の遊歩道、を一緒に進む。
潮風が頬を撫でて気持ち良い。
天気が良いからかおひさまが当たって何だか穏やかな気分になる。
「風、きもちいーね」
「うん、海の匂いってオレ好きなんだ」
湊が柔らかく笑う。
私もつられて笑顔を向けた。
「ここ、初めて来たけど落ち着くね」
「気に入ってくれたなら良かった」
普段と違う景色、空気、匂い、音。
五感を刺激されてテンションが上がる。
気付いたら自分から湊の腕にしがみついていた。
湊は一瞬だけ驚いたような顔をして、それから私と腕を組んで歩いてくれた。
そう遠くない道のりが、何だかずっと続いて欲しくて、すごく、不思議な気持ちになった。
「みひろさん、高い所、平気?」
「うん?」
「じゃあ、ついてきて」
嬉しそうに笑う湊について歩みを進める。
少し歩いていくと、大きな観覧車が見えてくる。
それを指差して、湊は笑った。
「みひろさん、……あれ、乗ろう」