レンタル夫婦。
13章:転機、そして告白
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――残り、2日

朝から湊のテンションは高かった。
珍しく朝ごはんも食べていて驚く。
結構早い時間に家を出て電車に乗る。
最初はハイテンションだった湊は、会場に近付くにつれ無口になった。
会場にたどり着いた頃にはもう……何というかガチガチで驚いてしまう。

初めて見る姿に……失礼だけど笑ってしまって、私はそっとその背中を叩いた。

「湊、緊張しすぎだよ」
「いやだってそういうけど、」
「湊なら大丈夫だよ。……いつも通りにやって」

不思議なことに、湊が緊張していると私は緊張しないみたい。
だからちょっとだけ年上ぶってみる。
湊は無言で私を見つめた後、小さく頷いた。

「……ありがとみひろさん、ちょっと落ち着いた」
「うん、それでこそ湊だよ、自信もって」

手を取ってぎゅっと握る。
湊は一瞬驚いてみせた後で、それをそっと握り返した。




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