レンタル夫婦。
14章:レンタル夫婦を続けましょう
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――ラスト、1日。最終日。
朝、湊の部屋で目を覚ます。
湊は相変わらず朝に弱くて眠っている。
それにくすりと笑みを零して、そっと髪を撫でた。
無意識なのか寝ぼけているのか、その手にすり寄られる。それが愛しくてたまらなくて、そっと額に口付けを落とした。
それでも起きないのにまた笑みが零れる。
とりあえず起きようかと思って上体を起こし、ベッドから抜け出ようとすると……抱きつかれた。
「湊? 起きて……?」
「んー……」
起きているのかと思ったけれど、むにゃ、と寝言みたいな声が返ってくる。
あまりの無防備さに本当に驚いた。
こっちが素なんだろうなと思って、元居た位置に戻る。それからそっと髪を撫でると嬉しそうに微笑まれた。
寝顔を眺めるのさえも幸せで、時々髪を撫でながら湊をずっと見ていた。
不思議なくらい退屈しなくて、時間だけがどんどん流れていく。
――どのくらいそうしていたのだろう、湊の瞼が眠そうに持ち上げられた。
「おはよう、湊」
にこにこと笑顔を浮かべたまま湊を見つめる。
湊は一瞬首を傾げてから、眠そうに口を開いた。
「ん……おはよ」
そして、抱き着いてくる。……本当に甘えただな、と思いながら後頭部を撫でた。
「今、なんじ?」
寝ぼけた声で訊かれて……単純な私はきゅんっとしてしまった。
ベッドの側の時計を見遣る。
時刻は8時前だった。
「もうすぐ8時ぐらい」
「げ……まだ早いじゃん……みひろさん朝強いよね」
「そうだね、基本朝型かな……その代わり夜は起きてられないけど」
「オレと逆じゃん」
「……そーだねー合わないかもね?」
湊の声にわざとからかうように言う。
と、湊が顔をあげて不満そうな表情を浮かべた。
「何でそーゆーこと言うの」
「言って欲しそうだったから?」
にやにやと表情が緩んでしまう。……どうしよう、湊をからかうのは、楽しい。
「みひろさんさー……昨日までオレにべた惚れだったじゃん。何で付き合ったら強気なの」
「それは、湊が私を好きだって安心したからかな」
「何それ……」
湊は拗ねたように言う。
それから溜息を吐いてまた顔を私の胸に埋めた。
「まー好きだけど」
そんなことを言われて、嬉しくて愛しくてたまらない。
素の湊を知って、もっと好きになった。
髪を撫でて抱きしめる。
「私も大好きだよ、湊。……9時前には起きようか。本社行くの13時だよね」
「あー……そうだね、お昼食べたり……書類も纏めなきゃ……めんどくさ」
「こーら、そういうこと言わないの」
すっかりぐっだぐだな湊に笑ってしまう。
背中をそっと叩くと、湊はそのまま目を閉じた。
「もう少しだけ、寝かして」
「ん……いいよ、起こしてあげる」
何だか湊に甘いなぁって考えながらも結局手は止められない。
あやすように背中を叩くと、いつの間にか寝息が返ってきた。
「……本当、朝弱すぎでしょ」
聞こえないように呟いて、頭にそっとキスを送った。
――ラスト、1日。最終日。
朝、湊の部屋で目を覚ます。
湊は相変わらず朝に弱くて眠っている。
それにくすりと笑みを零して、そっと髪を撫でた。
無意識なのか寝ぼけているのか、その手にすり寄られる。それが愛しくてたまらなくて、そっと額に口付けを落とした。
それでも起きないのにまた笑みが零れる。
とりあえず起きようかと思って上体を起こし、ベッドから抜け出ようとすると……抱きつかれた。
「湊? 起きて……?」
「んー……」
起きているのかと思ったけれど、むにゃ、と寝言みたいな声が返ってくる。
あまりの無防備さに本当に驚いた。
こっちが素なんだろうなと思って、元居た位置に戻る。それからそっと髪を撫でると嬉しそうに微笑まれた。
寝顔を眺めるのさえも幸せで、時々髪を撫でながら湊をずっと見ていた。
不思議なくらい退屈しなくて、時間だけがどんどん流れていく。
――どのくらいそうしていたのだろう、湊の瞼が眠そうに持ち上げられた。
「おはよう、湊」
にこにこと笑顔を浮かべたまま湊を見つめる。
湊は一瞬首を傾げてから、眠そうに口を開いた。
「ん……おはよ」
そして、抱き着いてくる。……本当に甘えただな、と思いながら後頭部を撫でた。
「今、なんじ?」
寝ぼけた声で訊かれて……単純な私はきゅんっとしてしまった。
ベッドの側の時計を見遣る。
時刻は8時前だった。
「もうすぐ8時ぐらい」
「げ……まだ早いじゃん……みひろさん朝強いよね」
「そうだね、基本朝型かな……その代わり夜は起きてられないけど」
「オレと逆じゃん」
「……そーだねー合わないかもね?」
湊の声にわざとからかうように言う。
と、湊が顔をあげて不満そうな表情を浮かべた。
「何でそーゆーこと言うの」
「言って欲しそうだったから?」
にやにやと表情が緩んでしまう。……どうしよう、湊をからかうのは、楽しい。
「みひろさんさー……昨日までオレにべた惚れだったじゃん。何で付き合ったら強気なの」
「それは、湊が私を好きだって安心したからかな」
「何それ……」
湊は拗ねたように言う。
それから溜息を吐いてまた顔を私の胸に埋めた。
「まー好きだけど」
そんなことを言われて、嬉しくて愛しくてたまらない。
素の湊を知って、もっと好きになった。
髪を撫でて抱きしめる。
「私も大好きだよ、湊。……9時前には起きようか。本社行くの13時だよね」
「あー……そうだね、お昼食べたり……書類も纏めなきゃ……めんどくさ」
「こーら、そういうこと言わないの」
すっかりぐっだぐだな湊に笑ってしまう。
背中をそっと叩くと、湊はそのまま目を閉じた。
「もう少しだけ、寝かして」
「ん……いいよ、起こしてあげる」
何だか湊に甘いなぁって考えながらも結局手は止められない。
あやすように背中を叩くと、いつの間にか寝息が返ってきた。
「……本当、朝弱すぎでしょ」
聞こえないように呟いて、頭にそっとキスを送った。