凸凹リレイション
*
昼休み、明日美はいつも八重とお弁当を食べている。明日美の前の席の机を借り、向きを変えて向かい合う。その間も、明日美ははびくびくしながら、何度も教室の入り口を窺った。
八重はそれを見ながら楽しそうにつぶやいた。
「三笠くん、ホントに来るかなぁ。ちょっと楽しみだね。でもさっきの態度見てたら、私が同じ中学ってのも気付いてなさそうだったよねー」
「そ、そう?」
「そうだよー。っていうかさ、何でそんなビビってるの、明日美」
“三笠”の名前が出るたびに肩をびくつかせる明日美に、八重は苦笑する。
「怖くないって、いい人だよ、三笠くん」
「だって。男の子と話すことなんか、ほとんどないし」
「私だってないけど。でも今回は、あっちから話しかけてくるんだからいいじゃん」
「でも」
それでも、上手く話せなかったら呆れられてしまう。明日美の眉尻は下がりっぱなしだ。
「私、上手く話せないもん」
「うまくって?」
「楽しませたりとか、そういうのできない。それでつまらない子だなって思われたら嫌だから、話さない方がいい」
「それは気にしすぎじゃない? 三笠くんが話したいって言ってるんだからいいんだよ」
「うん……まあ、そうなんだけどね」
八重の言葉に、明日美はちょっとだけ気が軽くなり笑顔になる。しかし、同じタイミングで教室の扉が開き、折角ほぐれた気持ちは、再び緊張に固くなった。
昼休み、明日美はいつも八重とお弁当を食べている。明日美の前の席の机を借り、向きを変えて向かい合う。その間も、明日美ははびくびくしながら、何度も教室の入り口を窺った。
八重はそれを見ながら楽しそうにつぶやいた。
「三笠くん、ホントに来るかなぁ。ちょっと楽しみだね。でもさっきの態度見てたら、私が同じ中学ってのも気付いてなさそうだったよねー」
「そ、そう?」
「そうだよー。っていうかさ、何でそんなビビってるの、明日美」
“三笠”の名前が出るたびに肩をびくつかせる明日美に、八重は苦笑する。
「怖くないって、いい人だよ、三笠くん」
「だって。男の子と話すことなんか、ほとんどないし」
「私だってないけど。でも今回は、あっちから話しかけてくるんだからいいじゃん」
「でも」
それでも、上手く話せなかったら呆れられてしまう。明日美の眉尻は下がりっぱなしだ。
「私、上手く話せないもん」
「うまくって?」
「楽しませたりとか、そういうのできない。それでつまらない子だなって思われたら嫌だから、話さない方がいい」
「それは気にしすぎじゃない? 三笠くんが話したいって言ってるんだからいいんだよ」
「うん……まあ、そうなんだけどね」
八重の言葉に、明日美はちょっとだけ気が軽くなり笑顔になる。しかし、同じタイミングで教室の扉が開き、折角ほぐれた気持ちは、再び緊張に固くなった。