凸凹リレイション


 その日の夕方、香苗は自分の家に帰るより先に明日美の家に寄った。あるだけの服をベッドに並べさせ、じっくりと見分する。

(……みんな地味ねぇ)

 ベッドに並べられた色は、白、ベージュ、グレー、黒。スカートもブラウスもカットソーも、大体その色味で統一されている。

(他になんか差し色になるものがあればいいのに)


「明るい色のストールとかないの?」

「ストールなんてしないもん」

「もう! 私の貸してあげようか。いつこの服着るのよ」


 相変わらずの後ろむき宣言にイライラして声を荒げると、明日美はしょぼくれたように肩を落とした。


「……日曜」

「そう、じゃあ日曜までに持ってきてあげる。……そうだなぁ。オレンジとかでも可愛いなぁ」

「いいよ。オレンジ色なんて似合わないもん」

「そんなことないって、ビタミンカラーをいれると明るくなるよ? 後はそうだな。髪は下ろした方が可愛いかも。それにその眉だよねー。どれちょっと貸して?」

「え?」


 明日美を捕まえて鏡の前に座らせる。全く手入れのされていない眉毛が、ただでさえ野暮ったい明日美をますますダサく見せているのだ。

 香苗は家から持ってきていたメイク道具を出し、ターバンで前髪をあげさせて、眉の形を整え始めた。

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