凸凹リレイション
香苗と明日美は、いわゆる幼馴染だ。
生まれる前から母親同士の仲がよく、同じ時期に妊娠したふたりの母親は、初めての妊娠についての不安や悩みを共有し、仲を深めあいながら一ヶ月違いに出産した。
先に生まれたのが明日美。
一ヶ月後に生まれたのが香苗だ。
当然のごとく、生まれてからも母親同士は悩みを相談し合った。
顔を合わせない日など無かったと言ってよく、ふたりはまるで姉妹のように一緒に育てられたのだ。
先に生まれたのが明日美でも、成長が早いのは香苗の方だった。
生まれた時から大柄だったのもあってか、香苗はみるみる身長が伸び、今では明日美より十七センチも高い。顔つきも大人っぽく、並んで歩けば、同い年だとは絶対に思われない。
実際、態度もそんなようなもので、香苗の明日美をみる目は姉のそれに近い。
「香苗ちゃん、まってぇ」
どこか舌足らずな口調で、明日美は香苗を追いかける。歩幅が大きく歩く速さも早い香苗の後を、小走りになりながら。
小学校から高校まで、通学路が変わってもずっと、ふたりはこの距離を保ちづつけている。