凸凹リレイション
*
昼休み、八重はいつものように明日美の前の席を陣取って、お弁当を広げる。うつむいたままの明日美を見て、ぽつりとつぶやいた。
「明日美、今日変だよね」
「……うん」
「ずっと俯いてるし。全然しゃべんない。つまんないよー。漫画の話でもしよーよ」
「……うん」
ご飯粒を一粒ずつつまんで食べる明日美を見て、八重は溜息をついて、仕方なしに黙って自分のお弁当をつつく。お通夜のような雰囲気のまま二十分が過ぎたころ、いつもの大きな声が静寂を破った。
「おーい、我妻」
俊介だ。明日美はビクリと体を震わせる。脳裏に昨日の光景が浮かんで、頭に一気に血が上ってくる。
「昨日の話、松崎から聞いた?」
「わ、私っ。先生に呼ばれたんだ!」
明日美は俊介の会話を遮るようにそう言って立ち上がる。八重のあっけにとられたような顔が胸を刺す。嘘だということは、その態度から俊介に伝わるだろう。明日美はますます混乱して、彼の顔見ないよううつむいたまま脇を通った。
「ご、ごめん。行ってくるから」
(もうヤダ。逃げたい)
言い訳をなけなしの勇気で伝えて、彼らに背中を向けて急いで教室を出る。たいして食べられなかったお弁当は、机の上に広げられたままだ。
昼休み、八重はいつものように明日美の前の席を陣取って、お弁当を広げる。うつむいたままの明日美を見て、ぽつりとつぶやいた。
「明日美、今日変だよね」
「……うん」
「ずっと俯いてるし。全然しゃべんない。つまんないよー。漫画の話でもしよーよ」
「……うん」
ご飯粒を一粒ずつつまんで食べる明日美を見て、八重は溜息をついて、仕方なしに黙って自分のお弁当をつつく。お通夜のような雰囲気のまま二十分が過ぎたころ、いつもの大きな声が静寂を破った。
「おーい、我妻」
俊介だ。明日美はビクリと体を震わせる。脳裏に昨日の光景が浮かんで、頭に一気に血が上ってくる。
「昨日の話、松崎から聞いた?」
「わ、私っ。先生に呼ばれたんだ!」
明日美は俊介の会話を遮るようにそう言って立ち上がる。八重のあっけにとられたような顔が胸を刺す。嘘だということは、その態度から俊介に伝わるだろう。明日美はますます混乱して、彼の顔見ないよううつむいたまま脇を通った。
「ご、ごめん。行ってくるから」
(もうヤダ。逃げたい)
言い訳をなけなしの勇気で伝えて、彼らに背中を向けて急いで教室を出る。たいして食べられなかったお弁当は、机の上に広げられたままだ。