凸凹リレイション
*凸*


 放課後、香苗と明日美は職員室にて立花にこってり絞られた。ようやく解放された後は、待ち合わせて一緒に校門を出る。


「参った。立花ウザい」

「でも、サボったのは私が悪かったし」

「アンタみたいなの、理由なきゃサボんないじゃん。頭ごなしに叱るような教師、どうかと思う」


 いつものようにズバズバという香苗の話を、明日美は黙って聞いている。その顔は微笑んでいた。


「ところでさ。三笠くんとはどうにかなったの?」

「どうもなってないよ。友達になれたと思う」

「前から友達じゃないの? 何してるのよ」


 香苗が呆れてそう言っても、明日美は全く応えていない。六時間目、少し遅れて教室に戻ってきた俊介は、すごく嬉しそうだった。だから、てっきりふたりはくっついたのかと思っていたのに拍子抜けだ。


「勢いで告っちゃえばいいじゃん。あっちもその気あると思うけど」

「そんなことないよ。私、誰かと付き合うとか、まだよく分からないし。今は三笠くんとお話できるだけで凄く楽しいから良いの」

「ふうん」


 そんなもんかね、と思いつつ香苗は明日美の横顔を眺める。
 頬が染まっていて、表情が明るい。何より、瞳がキラキラしている。

(ばっちり恋をしてるくせに。ホントどんくさいというかマイペースな子)


「ま、いいか」


 本人同士が幸せなのが大事な訳だし、明日美がどんくさいのはいつものことだ。これ以上は、何を言っても余計なお世話になるだけだろう。

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