凸凹リレイション
*
三時間目の終了を告げるチャイムが鳴り響き、明日美と八重は荷物をまとめて家庭科室を出た。
現在の家庭科はブラウス作りだ。まだ始まったばかりで、作りたいイメージをまずは絵に起こしてみるというのが今日の課題だった。
得意分野に嬉しくなりながら、明日美は何枚もデザインを考えた。
「明日美、生地学校で買う? 私、自分で買って来ようかなって思うんだけど、一緒に行かない?」
学校で注文もできるが、自分たちで買ってきても良いという。サンプルを見て、あまり好みの色がなかった明日美には渡りの船の誘いだ。
「うん、行きたい。今度の日曜とかどう?」
「いいよ。楽しみー。でも私、縫う方は苦手なんだよね。明日美は?」
「私は結構好きかも。お裁縫」
教科書の角を指先でこすりながらモジモジと言う。
明日美は昔から手先を使うことが大好きだった。指先の動きに集中しているうちに、普段は気になって仕方ない周りの音が消えていく。しがらみから解放されたように、自分の考えが湧き出てきて、思うが儘に指が動いていく。とても自由になったような気持ちがして、落ち着くのだ。
香苗という人当たりの良い友達が常に傍にいた為か、明日美は自分から話す必要があまりない。元々社交的でないこともあって、人と話すのは苦手だ。それが好きなものであっても同様で、何故だか恥じらいの方が先に出てしまう。趣味のことも、安心して話せるのは八重だけだった。
三時間目の終了を告げるチャイムが鳴り響き、明日美と八重は荷物をまとめて家庭科室を出た。
現在の家庭科はブラウス作りだ。まだ始まったばかりで、作りたいイメージをまずは絵に起こしてみるというのが今日の課題だった。
得意分野に嬉しくなりながら、明日美は何枚もデザインを考えた。
「明日美、生地学校で買う? 私、自分で買って来ようかなって思うんだけど、一緒に行かない?」
学校で注文もできるが、自分たちで買ってきても良いという。サンプルを見て、あまり好みの色がなかった明日美には渡りの船の誘いだ。
「うん、行きたい。今度の日曜とかどう?」
「いいよ。楽しみー。でも私、縫う方は苦手なんだよね。明日美は?」
「私は結構好きかも。お裁縫」
教科書の角を指先でこすりながらモジモジと言う。
明日美は昔から手先を使うことが大好きだった。指先の動きに集中しているうちに、普段は気になって仕方ない周りの音が消えていく。しがらみから解放されたように、自分の考えが湧き出てきて、思うが儘に指が動いていく。とても自由になったような気持ちがして、落ち着くのだ。
香苗という人当たりの良い友達が常に傍にいた為か、明日美は自分から話す必要があまりない。元々社交的でないこともあって、人と話すのは苦手だ。それが好きなものであっても同様で、何故だか恥じらいの方が先に出てしまう。趣味のことも、安心して話せるのは八重だけだった。