放課後、キミとふたりきり。

役に立てないことへの申し訳なさと、役立たずな自分への悔しさに唇を噛みながら、机の中のスマホを手に取った時。

廊下の扉が突然開き、見知った顔がひょっこりと現れた。



「あ。いたいた、沢井さん」

「え……徳永さん?」


丸顔で、潔いショートカットがトレードマークの彼女は、同じ中学出身の子だった。

とは言ってもそう仲が良いわけじゃなく、会えば挨拶くらいはするけれど、一緒に遊んだりするような関係でもない。

だからこうしてわざわざ教室まで来て、わたしの名前を呼ぶなんてことはいままでなかったのだけれど、いまはそんなことは気にならなかった。


このどうにもできない空気から逃れられる。

渡りに船とばかりに、わたしは勢いよく立ち上がり、徳永さんのもとへと向かった。


「徳永さん、どうかした?」

「あー、ちょっと話があって。少しいい?」

「えっと……」


一応アルバムを作るという名目があるので、後ろを振り返る。

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