放課後、キミとふたりきり。

確かに、矢野くんなら「別れたのにまた付き合う意味がわからん」とか言いそうだ。

彼のことをよく理解しているんだなあと、その口ぶりから感じて胸がちくりとした。



「だからまあ、ここはちょっと強引にでもわたしの方から近づいてやろうと思って。だから沢井さん、協力してくれない?」

「あ……で、でも。今日はクラスのアルバムを作らなくちゃいけなくて」

「それ、わたしが代わりにやるからさ! ちょっとの時間でもいいの!」


お願い! と、わたしに向かって手を合わせ、頭を下げる藤枝さん。

ゆるく巻かれた彼女の長い髪が揺れ、ふわりと甘い香りがした。


計算されつくしたような美しさと可愛さを併せ持つ藤枝さんに、わたしなんかが何を言えるだろう。



「あ、の。でも、わたし協力とか、そういうの苦手だから……」

「だったらわたしがきっかけを作るから、そのタイミングでトイレ行くとか適当な理由つけて、席を外してくれるだけでいいよ!」
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