放課後、キミとふたりきり。

敵前逃亡





教室の後ろの入り口から、黒いスマホに視線を落とす横顔を見つめる。


これくらいの距離がちょうどいい。

いつも離れた席に座る彼の横顔を見つめていたので、角度的にも安心する。


しばらくそうして観察していると、手の中のスマホから通知音が響き飛び上がった。

音に気付いた矢野くんもわたしに気付き、不審そうな目を向けてくる。



「何してんだよ、そんなとこで」

「あはは……。えっと、ごめんね。席外して」

「別にいいけど。さっき別の写真班の奴来て、追加で置いてったぞ」

「えっ? そ、そうなの? そっか……じゃあどんどん貼っていかなきゃだね」


急いで林くんの席に戻ると、確かにまた数十枚枚写真が増えていた。

矢野くんはすでに写真を切り始めていて、わたしも急いで途中だった飾りの貼り付けを済ませる。


次の写真をと手を伸ばした時、スマホからまたピコンと通知音が響き、肩が跳ねた。
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