放課後、キミとふたりきり。

春からずっと嫌われ続けているのに、たった数時間ほどでわたしたちが打ち解けられるはずがない。

冷静に考えればわかることだったのに、どうしてわたしは引き受けてしまったんだろう。


頼まれたからって、できることとできないことはある。

むしろ鈍くさいわたしはできることの方がずっと少ないのに。



「もしかして、クラスの奴らから?」

「えっ!?」


ドキリとして、矢野くんの顔を凝視してしまう。

まさかサプライズを計画していることがバレたのかと焦ったけれど、矢野くんは「買い出し担当の奴ら、遅いよな」と写真を切る手元に目を落としながら言った。

クラスメイトからの報告だと思ったらしいことがわかり、ほっと胸を撫で下ろす。


「な、なにをどれくらい買うか、色々考えてるのかも」

「そんなん買えるだけ買えば済む話じゃん」


確かに、矢野くんなら5分ですべて済ませてしまいそうた。

わたしならきっと、買い物かごに入れたり戻したりしながら三〇分以上はかけるだろう。
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