放課後、キミとふたりきり。
「それに矢野ってイケメンだし」
「えっ。か、茅乃って、もしかして矢野くんのことが……」
好き、だったりするの?
続かなかったわたしの言葉を察したのか、茅乃がケラケラ笑う。
その時彼女の歯に青のりがついてたのが見えた。
いま食べていたちくわの磯辺揚げだろう。
せっかくの美人が台無しだ。
あとでついていることを教えてあげないと。
まあ茅乃はそういうことをあまり気にしない子なんだけど。
「ちがうちがう! 目の保養がいなくなるのは視界的に寂しいってこと! わたし矢野はタイプじゃないし。もっと年上で、頼りなーい感じの人がいいもん。うちのコモリンみたいなさあ」
「茅乃って、好み変わってるよね……」
頼りがいのある年上、ならわかるんだけど。