放課後、キミとふたりきり。
「それに比べて矢野はしっかりしすぎだし、あと目つき悪すぎ」
「まあ……確かに顔は、ちょっとこわいけど」
「ちょっと~? めちゃくちゃびびってるくせに」
「そ、そんなにびびってないよ」
矢野くんは整った顔をしているけど、背が高くて目が鋭く、いつもしかめっ面をしていて威圧感がある。
口調も男っぽく荒いので、最初は完全に住む世界のちがう危ない人だと思っていた。
そんな危険な人が学級委員なんて、するわけないんだけど。
「どーすんだよ、栄田」
「矢野を問い詰めるか?」
「問い詰めるって、んなことして何になるよ」
「だってムカつくじゃん。俺らに何も言わずに転校するつもりなんだろ?」
そう、それだ。
みんなきっと、そこにショックを受けているんだと思う。