放課後、キミとふたりきり。

いつも笑顔で明るい栄田くんが怒る、珍しい姿に戸惑う。

どうして彼が怒るのかわからない。


「で、でも。たぶん藤枝さんなら出来ると思う。わたしなんかより、よっぽど上手く聞き出せるんじゃないかな……」

「千奈はどうして藤枝さんなら出来ると思うわけ?」

「それは……」


みんなの視線に恥ずかしくなりうつむく。


自分の気持ちを話すのは苦手だ。

内面をさらけ出すようで、恥ずかしいしこわい。



「話しをしているふたりが……自然だったから。アルバムを買いに行った時に藤枝さんに会って、まるでまだ付き合ってるみたいに話してた」


なんだかこれじゃあ、わたしが藤枝さんに嫉妬していると白状しているみたいだ。

赤くなっていいんだか、青くなっていいんだかわからない状況に、泣きたい気持ちになってくる。
< 144 / 223 >

この作品をシェア

pagetop