放課後、キミとふたりきり。

栄田くんはただひたすら、矢野くんを大切に想っている。

それに比べてわたしは何をやっているんだろう。

嫌われるのがこわいとか、どうせわたしなんてとか、自分のことばかり。


わたしのことはどうでもいいんだ。

矢野くんに感謝しているなら、矢野くんが大切なら、矢野くんのことが好きなら……自分のことは二の次にして、いまできることだけを考えよう。



「……そうだね。それは悔しいってわたしも思う」


ぎゅっと手を握りしめ、覚悟を決めた。


「わたし、もう一回がんばってみるよ」

「沢井さん!」


栄田くんの顔が輝く。

あんまり嬉しそうだから、わたしも嬉しくなって微笑んだ。



「さすが学級委員!」

「元カノなんかに負けるな!」


他の男子にもそんなエールをもらい照れくさく思っていると、親友が「もう、男子はまじ黙れ!」と彼らを追い払う。
< 147 / 223 >

この作品をシェア

pagetop