放課後、キミとふたりきり。

背の高くない栄田くんの、華奢な肩が震えている。

いつも笑顔を絶やさない彼のそんな姿に、何も感じずにいられる人がいるわけない。


クラスメイトの心がひとつになった瞬間だった。



「……だな。言わせてやろうぜ!」

「何か事情があんのかもしんねーけど、知ったこっちゃねーよな」

「どうせあいつ、かっこつけてるだけだって」

「せっかくだもん。言わせるだけじゃなくて、泣かせちゃおうよ!」

「えー。矢野くんを?」

「矢野が泣くとか想像つかねーわ!」

「で、どうすんの? 誰が言わせる?」


盛り上がり始めるみんなに、栄田くんはほっとしたように力なく笑った。


それを見て、なぜか私もとても安心した。

よかったと、ひとり胸を撫で下ろす。


見ていた茅乃が、小さく笑った。



「栄田ってさぁ」

「うん」

「チビで口軽くて女好きでアホだけど、友だち思いのイイ奴だよね」
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