放課後、キミとふたりきり。

結局彼にはムダな時間を過ごさせてしまった。

視聴覚室で待ってくれているみんなにも、役に立てなくて申し訳ない気持ちが溢れてくる。


ふたつ並んだ机の上の、作りかけのアルバムを見て涙が出そうだった。


せめて、このアルバムを完成させよう。

せめて、矢野くんへのみんなの感謝の気持ちを伝えよう。

せめて、同じ学級委員として、彼にたくさんお世話になったお礼を伝えよう。

せめて……。


矢野くんを中心に、各ページいっぱいに貼られたクラス写真。

わたしも小さく控えめにその中に入れてもらっている。


笑顔であふれたアルバムを見返した時、矢野くんはこのクラスを思い出し、懐かしく、惜しく感じてくれるだろうか。

このクラスで良かったな、と。

もっとこのクラスにいたかったな、と。

そう、微笑みを浮かべてくれるだろうか。


残り少なかった写真を貼り終え、フキダシの付箋やマスキングテープも準備が済んだ。

大きなペンケースからペンを取り出し、キュポッとフタを取る。


さあ、最後の仕上げだ。

< 178 / 223 >

この作品をシェア

pagetop