放課後、キミとふたりきり。

ページいっぱいに写真や付箋、マステが貼られたアルバムが、出来上がった。

机の上のそれをじっと見つめ、真っ黒な見返しの部分に指をすべらせる。


これで終わり。

終わってしまった。


アルバムが完成したら、矢野くんは家に帰って引っ越しの準備をして、明日でさよなら。

サプライズパーティーではみんなに囲まれ、きっとわたしは話すチャンスさえないだろう。


これで終わり。



終わりにして、いいんだろうか。


結局何もできず、さようならでいいんだろうか。

このまま何も伝えられないままで……。


さっきまで矢野くんが座っていた向かいの席を見る。

空っぽの席。

明日で矢野くんが転校したら、彼の姿はこの教室から消えてしまう。

ぽっかりと、教室にもわたしの心にも、空白ができてしまう。


想像するだけでたまらなくなって、居ても立ってもいられず、鞄からいつも使っているルーズリーフのノートを取り出した。
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