放課後、キミとふたりきり。

すぐに考えたのは、アルバムの中身を見たか、見ていないのかということ。


どうしよう、怒ってる?

いきなり意味不明なことを言って、アルバムを押し付けたことを怒られる?


思わず走って逃げ出しそうになったわたしの腕を、矢野くんの空いた左手がつかんだ。



「待て待て! 行くな!」

「ご、ごめんなさいっ」

「怒ってないから! 謝らなくていい! とにかく行くな!」



どう見ても聞いても、怒っているような顔と声で言われ、わたしは涙目で彼に向き直るしかない。

わたしが逃げないとわかったのか、矢野くんは前かがみになり大きく息を吐き出した。



「ったく……いきなり押し付けて帰る奴がいるか」

「あの……」

「つーか、これ! どういうことだよ!?」

「ひえっ」



アルバムを見せられ、肩が跳ねる。


どういうことって、どういうことだろう?

矢野くんは中身を見たんだろうか。


最後まで、写真と、絵と、そしてわたしの気持ちを綴った付箋を……。



「これ! ずっと前から好きでしたって!」

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