放課後、キミとふたりきり。

み、見てた……!


その瞬間、顔が沸騰したように熱くなり、身体は無意識に逃げ出そうとした。

けれどがっちりと腕を掴んでくる手がそれを許さない。


こみあげてくる涙で鼻がつんとなる。

もう恥ずかしさと居たたまれなさが許容範囲を超えて、パニックになっていた。


思わずまた口から「ごめんなさい」が零れそうになった時、矢野くんはわたしから手を離し、アルバムの最後のページを開いて見せてきた。



「ここ! 好きでしたって、でしたって何だよ?」


「……え?」

「でしたって過去形だろ? つまりもう好きじゃねぇってこと?」

「あ、あの……」



アルバムの終わりに貼った、授業中の矢野くんを盗み見て描いた絵。

そこに貼りつけた薄いピンクのマステには、確かにわたしの文字で


【本当は、ずっと好きでした】

と書いてある。


自分の告白を改めて告白した相手から見せつけられ、言葉が出てこない。

なのに矢野くんはわたしの恥ずかしさや戸惑いなんて気づかない様子で、「どうなんだ?」と返事を急かしてくる。
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