放課後、キミとふたりきり。
「だから、自分の居場所を探してお手伝いをしたの。食事の片付けをしたり、小さい子の面倒をみたり。それで誰かにありがとうって言われると、ほっとした。自分の存在は迷惑じゃないって、安心できた」
いい子だね、しっかりしてるねと言われたけれど、そうじゃない。
ただただ、わたしはひとりぼっちが嫌だっただけだ。
それでも嬉しかった。
あまり馴染みのない親戚が、笑顔で褒めてくれるのが。
手伝いを頼まれるのが、それにお礼を言われるのが、とてもとても嬉しかったんだ。
「両親が離婚して、お母さんとふたりになって、やっぱりお荷物にはなりたくなかったから、お母さんにありがとうって笑ってもらえるようなことしてた。いまもそう。もうクセみたいなもので、学校でもどこでもそうしちゃう」
「そんなことムリにしなくても、沢井の居場所はあるだろ。自分を犠牲にしてまで守りたいか?」
「犠牲だなんて思ってないよ。まあ……自分に自信がないのもあるのかもしれないけど」
「お前の親だって、吉岡だって、お前のこと大事にしてんじゃねぇの。他にも……色々いるだろ。絶対」