放課後、キミとふたりきり。
今日のこのサプライズだって、ムリだ、無謀だとは思ったけれど、終わった時にみんなが笑顔になってくれることを願ってやっていた。
その“みんな”の中には、もちろん矢野くんもふくまれている。
「人ってひとりじゃ生きられない。だから誰かのために生きたいんだと思う」
「自分のためじゃなく?」
「それが自分のためになる……のかな?」
「なんだよそれ……」
矢野くんは一瞬、泣きそうな顔をして唇を噛んだ。
わたしはわたしの考えを真っすぐ口にできて満足したけど、矢野くんはどう思っただろう。
やっぱりおかしいと呆れただろうか。
それならそれで仕方ないけれど、できればもうため息は聞きたくないなあ。
そんなことを隣りで思っていると、また握った手に力がこめられた。
「俺……バカみたいだ」
「えっ。ど、どうして?」
「クラス委員が決まった時から、ついきついこと言っちゃってずっと後悔してるのに、後悔するばっかで全然うまくいかなかった。好きだからこそ、お前が我慢してるのが許せなかった」