放課後、キミとふたりきり。

「クラスでパーティーすることにすれば?」

「何のパーティー?」

「あ、誕生日は? 誰か誕生日の奴いねーの?」

「そんな都合よくいるわけないじゃん」



わたしの意思はそっちのけで、どんどん話が進んでいく。

カナヅチのくせに、うっかり流れるプールに入ってしまったような気分だ。


どうしよう。

このままじゃ本当に大役を任せられてしまう。

あの矢野くんに転校することを彼の口から言わせるなんて、絶対ムリ。

まず彼とふたりきりになる時点ですでにムリ。


HRで一緒に教壇に並んで立つのですら、緊張しすぎて呼吸の仕方を忘れそうになるくらいなのに。

ふたりきりになんてなろうものなら、きっと心臓が爆発してしまう。



「じゃあでっちあげれば良くね?」

「はいはーい! 小森先生の誕生日ってことにすればいいと思う!」


まるで子どものように腕をぴんと上に伸ばしはりきって提案したのは、なんと目の前の親友だった。
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