放課後、キミとふたりきり。
好きだからこそ。
そんな風に言われ、嬉しくならないわけがない。
矢野くんは後悔してる、ごめんと言うけれど、謝罪なんていらないと思う。
だってわたし、いま胸がいっぱいだもの。
「でも、勘ちがいだったんだな。俺の価値観を押し付けてただけだった。お前は俺より、ずっとすごい奴だよ」
「わ、わたしが……?」
ぎょっとするわたしに笑って、矢野くんはしっかりとうなずいた。
「好きだ」
誠実さの滲む声で、丁寧に言葉を差し出すようにそう言った矢野くん。
「沢井のことが、好きだ」
カラフルな包装紙でラッピングされ、綺麗にリボンを結ばれたようなその告白を受け取るのに躊躇ってしまう。
わたしなんかでいいんだろうか、と。
けれど矢野くんが「俺、こんなかっこ悪い奴だけど……」なんて言うものだから、そんな躊躇は消し飛んだ。