放課後、キミとふたりきり。
告白できて、矢野くんにも好きってもらえて、どうやら彼氏彼女の関係になれたようだけれど。
でもやっぱり、明日でお別れと思うと複雑だ。
わたしのそんな気持ちが通じないのか、矢野くんは階段をのぼりながらこっちを見て眉を寄せた。
「どういう意味?」
「だから、せっかくその……りょ、両想い? になれたのに、すぐ離ればなれになっちゃうわけだし」
「離ればなれ」
「あ! で、でも、離れてもわたしの気持ちは変わらないよ? 遠距離になったって、矢野くんを好きっていう気持ちは絶対薄まらない自信があるし!」
「お、おお。それはなんていうか……嬉しいけど。つーか遠距離って?」
「え?」
「沢井、どっか遠く行くの? 初耳なんだけど」
「え? ……えっ!?」
「まさか転校するとか?」
教室の前まで来て、お互い顔を見合わせ立ち止まった。