放課後、キミとふたりきり。
「ど……どういうこと?」
「やだ。千奈、まだわからないの?」
大騒ぎする輪の中から抜け出してきた茅乃が、あきれたように笑う。
「矢野が転校するからサプライズをするって話は嘘」
「ウソ!?」
「そう。実際はそういうサプライズだったの。あんたと矢野へのね」
矢野くんはあたまをかきながら「そういうことか」と忌々しそうに呟く。
理解するのが早すぎるんじゃないだろうか。
「でも、どうしてそんなこと……」
「だってあんたたちが、ちーっとも進展しないから」
「わ、わたしたちのせいなの?」
「傍から見たらすぐ両想いだってわかるのに、当の本人たちがてんで鈍くてダメなんだもの。お互いこじれちゃっててこれは上手くいくものも上手くいかないなって、みんなの意見が一致して、栄田とわたしが発起人になってこのサプライズを計画したのよ」