放課後、キミとふたりきり。
落ちこむわたしに、親友が満面の笑みで親指を立ててきた。
無神経にもほどがある。
「じゃあ細かく打ち合わせを……」
「栄田! 矢野戻ってきたぞ!」
教室の入り口で、廊下を見張っていたらしい男子が叫んだ。
壁の時計を見れば、いつの間にか昼休みが終わるギリギリの時間になっている。
「やっべ! えーと、じゃあ矢野抜きでLINEグループ作るから全員参加な!」
「おっしゃ。午後の授業は全部作戦会議だな」
「お前ら先生に見つかんないようにしろよ?」
「くれぐれも矢野には秘密で!」
バタバタと、みんな慌てて自分の席へと戻っていく。
被害妄想だろうか。
クラスメイトたちが妙に楽しそうな顔をして見えたのは。
遅れてわたしもノロノロと、食べかけのお弁当箱を片付け始めた。
好物のからあげを食べる気さえなくなっていた。